阻止2019

何年経っても覚えてる試合がある。そういう試合は劇的な勝利だったり、印象に強く残る強烈なプレーが行われた試合だったりすることが多いわけだけど。例えば、2007年の大分戦@小瀬。1点リードしているものの、終盤に大分の猛攻を受け防戦一方。このままではいつ失点しドローにされ、勢いのままさらに失点し敗戦の可能性もあった状況で、GK鶴田選手の長い腕から放たれたボール、そこから右サイドを獲物を追うチーターのようなドリブルで独走し見事ゴールを決めた試合。ヤングガン久野純弥のプロ初ゴール。あの試合はいまだに忘れない試合。

「ああ、あの試合ね!!京都戦!憶えてる!2019年だったっけ。」


...ところがである。ホイッスルが吹かれ、遥か向こうに見える甲府ゴール付近で選手たちの動きが止まる。

PK。

1-0で甲府がリード。後半46分。すでにアディショナルタイムに入り、勝利を目の前にして、PKを与えてしまった。後からわかったことだけど、京都の仙頭選手が上げたクロスボールが、それを止めようとスライディングした際に高く上げてしまった湯澤くんの手に当たってしまった。もう少し落ち着いて対応してもよかったかもしれないけど、必死にクロスを阻止しようとした湯澤くんを責めることはできない…


このPKが決まり、甲府の2019年J1昇格への道は閉ざされた。

…んだったんだろうと思う。そうなるハズだったんだろうと思う。

先に書いちゃうけど。未来を覆した。


甲府ゴール裏は緊張で空気が真空状態。息をしていたのか覚えていないくらい。そして祈り。だがボクはどこか落ち着いていたのを覚えてる。この試合、河田選手は完全に「当たってた」。仙頭選手のシュートをことごとく阻止してた。大丈夫じゃないかな。甲府サポーター全員が向こうのペナルティエリアで行われようとしてたプレーにグッと集中した。祈り。祈り。河田コール。届け。


フットボールの世界では、あちらこちらで、ポジショナルプレーだとか、5レーンだとか、偽インテリオールだとか、プレースタイルのトレンドや新しい理論、哲学が日進月歩で生まれているけど、ペナルティーキックにおいては、高低、強弱の差はあるけど、キッカーは右に蹴るか、左に蹴るか、真ん中に蹴るだけであり、ゴールキーパーは、右に跳ぶか、左に跳ぶか、真ん中で待ち構えるかだけであり、このそれぞれの決断の組み合わせしかないんじゃないかな、と思ってる。


仙頭選手の決断。
カワタコウヘイの決断。
時が来た。



仙頭選手は右に蹴り、カワタコウヘイもキッカーから向かって右に跳んだ。



あの日あの瞬間、ありとあらゆるこの世の全ての事象の中で、一番ピッタリと噛み合ったのが、あのペナルティキックだったんじゃないかな、と思う。

獲得できた勝利ポイントが、ドローの1でなく、3になった試合だったんだろうと思う。もちろんフットボールはゴールを決めないと3ポイントは得られない。この試合で唯一のゴールシーン。カウンター発動、アラーノの絶妙な溜め、曽根ちゃんのクロス、ゾノさんの執念のスライディングゴール。実に斬れ味が鋭いカウンターで素晴らしかった。だけど、この試合の3ポイントは、間違いなく「カワタコウヘイが止めたことで得た3ポイント」だと思う。河ちゃん、ありがとう。

真空状態から一気に解放された甲府ゴール裏は、気がつけば、ボクを含め、みな号泣だった。心が震えた。本当に心が震えた魂の試合だった。

これが甲府のフットボールなのだ。

プレーオフへの望みが繋がった。これが今年のボクのベストゲーム。忘れない。



未来は覆せるんだよ。


来シーズンもJ2のステージでの闘いが続くことになったが、そんなことはどうでもよくて、甲府に立ち向かってくる相手が巨大だろうが弱小だろうが、対戦相手に関係なく、いつだってどこだって、忘れちゃいけないのは、ただ一つ。

最後に笑うのは俺たちだ!


この post は 2019 Advent Calendar 2019 第14日目の記事として書かれました。
昨日はHuddle様でした。明日はH.Kanamori様です。

(雨天のため内容を変更してお届けしました。)


追伸。未来を覆す若いパワーとエナジー。